活動報告

2018年10月29日

研修会報告平成30年度 第1回地域歯科保健研修会報告

平成30年10月14日に広島県歯科医師会館5階において、平成30年度広県歯科衛生士会第1回地域歯科保健研修会を開催しました。
講師に広島大学歯周病態学研究室准教授の藤田剛先生をお迎えし、「歯周治療から健康増進を考える"医科歯科連携のための臨床指標について"」というタイトルで、歯周病に関する基礎知識から重症度の評価方法に関してわかりやすくご講演いただきました。
歯周病と糖尿病の関係は、歯周病治療による炎症のコントロールが糖尿病の病態改善に繋がることが明らかとなっています。加えて、歯周病が進行し歯を失うことにより、食べやすい麺類などの食事に偏りやすく炭水化物や脂肪の摂取が増加し糖尿病も悪化してしまうため、歯周治療に加えて補綴治療も糖尿病の1病態改善には重要であることが理解できました。

また、現在では様々な論文からも口腔の健康と全身の健康は密接な関わりを持つということが明らかになっています。そのため、今後は患者の歯周状態を全身疾患の治療を行う医科の医療従事者とも共有していくことが必要となってきます。しかし、医科の医療従事者に対して口腔内の状態を伝えるのは難しく、歯周病の重症度には指標がありません。そこで、日本歯周病学会では、歯周ポケット内の炎症の表面積を示すPISA(Periodontal inflamed surface area)の周知に取り組まれていると教えていただきました。PISAはポケット測定とBOPを調べ、そこから炎症の総面積を算出していきます。値を入力すると自動的にPISAが算出されるエクセルのシートもご紹介いただき、すぐに臨床に活用でき、医科歯科連携のみならず患者説明にも役立つ指標となると感じました。
受講者からは「歯周病のことを基礎から見直しでき、また歯周病の重症度をどう見ていくか新たに学ぶことができた」「糖尿病教室で歯周病との関わりをうまく説明できていなくて、本日の研修会で他職種に理解してもらえるように活動できそうです」「医科歯科連携を行うにあたって共通言語化の必要性やPISAのことが聞けて良かった」「以前、医科歯科連携を行うに当たって歯科で行う歯周病評価をそのまま伝えるのでは、連携が思うようにいかないケースが多くみられていたので今回のPISAをふまえて伝える方法の構築が必要だと感じた」といった貴重なご意見をいただきました。

今後、教えて頂いたPISAが標準化され、医科歯科連携に有効活用される日が来ることが楽しみです。歯周病の基礎と最新の知見を学ぶことができるとても有意義な研修会でした。

公衆衛生部 部員 若林侑加

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